もつ乃の余韻に浸りながらバスは海老名駅に到着。相模線で茅ヶ崎まで、東海道線で目的地大磯に着いた。今回のご縁を取り次いでくださったひろきさんとここで合流。夏の盛りの湘南の空気感を感じながら中村好文さんの講演会場へと向かった。

会場の建物である旧大磯郵便局を改装したコワーキングスペースに到着。代表の原さんにご挨拶して中へ入ると中村好文さんが居られた。いままで20年間、本や雑誌などで見てきた通りの、そして思っていた通りの雰囲気や空気感を醸し出す方だった。

随分前の話だが、坂本龍一さんとお会いしたことがある。■ - wcc works blog (hatenadiary.org)とてつもないオーラを放っているのかと思いきやその全く逆で、その立ち姿、話す声、握った手も全てが柔らかい印象を受けた。憧れ続けた中村さんを目の前にして、その時のことを思い出した。

講演が始まる前だが中村さんも、周りの参加者も既に片手にビールを持っていた。講演チケットにはワンドリンクとおつまみ、ホットドッグの交換チケットが付いていて、ぼくらも早速いただくことにした。参加者は40名ほどで、中村さんとの距離感も手を伸ばせば届くほど。その場にいるだけでも嬉しかった。

講演のお題は「さあ、なにからはじめよう?」というタイトルで、彼が10数年前から始めた、なるべくエネルギーを自給したり、周囲環境に負荷を掛けないようなオフグリッドな小屋を作ってきた経緯、そこでの過ごし方のおはなしだった。彼の書籍はほとんど読みつくしていたので、うんうんと頷きながら音楽を聴いているような感覚でお話を聞いていた。中村さんの設計事務所レミングハウスでの日常のおはなしも2杯目のワインをいただきながら心地よく聞いていた。

講演の後は好文さんとの懇親会。すぐにファンたちに囲まれて、奥手なぼくは遠目に眺めているばかりだったが、それを見た原さんが「山口からきた大工さんで、、」と紹介してくださった。20年前に「住む。」で好文さんを知って独立するきっかけとなったこと。以来、好文さんの影響を受け続けて普段着の様な家を作り続けていることを伝えることができた。ほろ酔いの好文さんはくしゃくしゃな笑顔で「えー!そう!」と言ってくださった。周りの皆さんは写真撮影をしていたけど、ぼくはお話し出来ただけでもう充分だった。彼の著書「普通の住宅、普通の別荘」は初版時速攻でで購入し以来バイブルとしているんだが、好文さんがその本にサインをくださった。

宝物です。

ひろきさんは自邸の設計依頼にトライされていた。ぼくは遠目にエールを送っていたんだが、好文さんは話半分くらいで聞かれていた様子だった。でもきっと好文さんの心に引っかかってはいるはず!もしそんなことが叶ったならば、施工は僕にやらせてください!浜田に住み込みでやります!と言ったらひろきさんは「もちろん、そのつもりですよ。」といってくださった。

念ずれば花開くというのは本当だと思っている。そんなことがいつ起きてもいいように、技も心も磨いておこう。

 

続く