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ものをつくる上で、「素材=マテリアル」を選ぶのは特に気を遣います。
木や鉄、土や布から塗料に至るまで、一つのものをつくるだけでもたくさんのマテリアルが使用されます。それらを選択するとき、まずは単純に「見た目=デザイン」を重要視します。そしてそれに伴った機能性や安全性が必要になります。なるべくシンプルなものをつくりたいのでそういったバランスのとれたマテリアルである事が条件となります。
僕の場合、ようするにケミカルじゃなくナチュラルということなんですが、実はそれがけっこう難しい。
戦後の高度経済成長期、住宅産業は目ざましい発展を遂げ、そのなかで数々の商品が生まれました。たとえばビニルクロス。短時間で施工でき、仕上がりもいい。当時は業者にも消費者にとっても夢の建材だったでしょう。しかし接着材に含まれる化学物質は確実に人体に悪影響を及ぼすものでした。いまでこそ法的な規制があって基準値を超えなければ問題ないとされていますが、要は入ってるもんは入ってる。
和室なんかの塗り壁も同じで、ひび割れや剥げなどのクレームを無くすために増粘剤や防カビ剤などの添加物が入ってる。
フローリングだって、無垢の板を張れば傷付きもすれば隙間ができたりもします。それを無くすために合板フローリングが生まれました。ベニヤ板に木の模様がついた接着剤のかたまりです。無垢板だってそう、両面にウレタンの塗膜を作って、木が動くのを防いでる。

じゃあ自然素材を使うという事はリスクを伴うってことでしょうか。


そんなかんなで、様々な矛盾が生じる。


僕んちは、実家も今の住まいも、無垢の木と漆喰でできています。子供が多いんで床は傷だらけ(笑)壁の漆喰もところどころに細かいヒビが入っています。だけど全然気にしない。っていうか気になんない。おかげで湿度の高い梅雨時期も床はサラッとしていてペトつかないし、木や漆喰の調湿効果などでわりと快適に過ごしています。
要は「気にしない」ってこと。
ただ、自分の価値観を押し付けるわけにはいけません。  
難しいな〜…