おしゃれとはなんぞや

最近ではその手軽さからFBやIGでの発信ばかりになりがちですが、いかんいかん。本当はもっと書きたいし、きちんと正確な伝わり方をするためにしっかり書かないといけないと思っています。

僕の投稿した現場や家具、あとお店の植物や商品の写真にはいろんな反応を頂きます。反応が欲しいから投稿するわけであって、ああいうものは言わば自己顕示欲的な要素もあるわけですね。そういうものを手軽に発信し交流できるのがSNSの良いところなのでしょうが、発信者としての自覚や責任とか覚悟が必要ですし、あとあまりネガティブな要素を発信するのも避けたいところです。とりあえずぜんぶいいね!のひとや、いいね!したのにいいね!こないのひと等の所謂「いいね病」のひとは少し自制をするべきではとも思っています。少なくともぼくはひとつもいいとも思わないのにいいね!なんて馬鹿げてると思っています。
だけどさ、やっぱり自分の尊敬してるひとなんかからいいね!がくると嬉しいもので、ある特定の人達から反応があったとき、しかもそれが2人同時だったりすると「よし!」と喜んでいる自分もいるわけですよ。

つい先日、それこそ完成したリノベーション現場の写真を投稿したのですが、「お洒落ですね!」とか「うちもこんなふうにお洒落にしてほしいです!」とかいうコメントをいただいたんです。「へ〜、こんな質素で慎ましい引き算の建築が、お洒落に感じてくれるひともいるんだなぁ」というのが正直なところです。
「おしゃれ」と聞くとなんだか妙にこっぱずかしい気もするし、大体おしゃれに造っている気はさらさらないのです。ぼくにとってお洒落とは薄い衣のようなもので、ようするに表面上の話なわけです。

写真は約3年が経過したT邸の台所。シナ材の合板で造った引出や棚のユニットの上にオーダーしたステンレスの天板を乗っけただけの実に簡素なキッチンです。システムキッチンのようなピカピカで多機能な利便性はありませんが、本当に料理をするひとであれば、ぼくはこういうキッチンの方が断然良いと思うのです。だってほら、プロの厨房には食器棚以外戸や引出はないでしょう?
棚には戸がついていないのでなにがどこにあるかが一目瞭然。中に湿気がこもることもなくよっぽど清潔です。調理器具なんかも敢えて隠さない潔さ。ぼくが最も敬愛する建築家 中村好文さんも著書の中で「台所観」についてこう語っています。
「美しく散乱する台所、あるいは多少の散乱くらいでへこたれない大らかな台所が私の理想です。」
「料理には段取りと手順があり、それを手際よく裁いていく一連の流れの待ったなしの最中に飛び散る油や吹きこぼしや、ソースがはねるのをいちいち気にして心を痛めていたのではとても料理になりません。台所は小さな戦場、もしくは修羅場と考えていた方がよさそうだ」*中略あり

つまりこの台所は機能や必然性から生まれたかたちであって、その本質を住まい手である彼らがよく理解して使っているからこそ良い台所になっているんだと思います。そしてそれの積み重ねが良い住宅となるわけです。その様子がお洒落にみえるのでしょうか。
逆に、どんなにお金や時間を費やしてつくったとしても、住まい手と価値観を共有できなければ佳い住宅にはならないのかもしれませんし、実際にそういうことは多々あります。そういう場合、「お洒落」が先行している場合が多いのもまた事実。
大事なのはもっと深いところにある本質的な部分であり、表面的で薄っぺらいこだわりなんて持つと、それこそ痛い目に遭ってしまいます。

ですから、ぼくにはおしゃれなものをつくるセンスはもっていないのです。ごめんなさい!

次回はものつくりにおける「こだわり」についてを書こうとおもいます。(宣言することで自身に約束をする意)

植物を上手に育てるコツの話

植物を上手に育てるコツは、「接すること」にある気がします。
例えば水遣りの仕方ひとつとっても、Plainでは口を酸っぱく言い続けている通り「何日に一回」ではなく、「土の表面、もしくは土が乾いてからたっぷりと」ですね。天候や置き場所の環境、鉢の大きさによって土の乾く速度は変わります。だから毎日とは言わずとも(ぼくは一日何度もですが)植物とコミュニケーションをとるように「接する」ことが大事なのです。
メルヘンなおとぎ話のように聞こえるかもしれませんが、以前の記事に書いたように植物は人の感情を少しだけでも分かっているんです。
人間同士や動物との関係がそうであるように、癒されたいのであれば、こちらも癒してあげなければ上手くいかないのは当然です。
さて、毎日の様に接っして観察していると、植物にはいろんな面白い生態があることに気がつきます。
写真はPlainでも人気者のエバーフレッシュ。夜になると葉を閉じ、朝になると目覚めるように葉を開くとてもかわいいやつです。
朝、新しい枝の葉の付け根をよーく観察してみてください。必ず小さな水滴を出しています。
植物は光合成を開始すると蒸散といって水分を放出するので、おそらくその一環でしょう。
朝日に反射してとても美しい!

このように植物を上手に育てるコツはまず「接すること」が大事。
インテリアの一部のように、おしゃれアイテムとしてではなく、あくまでも生き物として接して下さいね。
そうしたゆとりや余裕の部分が、きっと毎日の生活をより豊かにしてくれるはずです。

このたび京都の農園芸用品店 LIFETIMEのストアブランド WORKS&LABOとPlainのコラボアイテムとして植え替え専用棒「soil stick」がリリースとなりました。今日はそのご紹介と開発秘話を。

春は植物の植え替えの季節です。仕入れてきた植物やお客さんからの植え替え依頼の植物を、多いときは一日に20鉢以上も植え替えます。日中は大工として現場で作業し、夕方に店に戻り植え替えの作業をするのですが、その植え替え作業にちょうどいいのが大工仕事で耳に差している鉛筆。片方は尖っていて根をほぐしたり、葉と葉の狭い隙間の作業に使い、反対側の丸い方は用土を根と根の隙間に押し込んだり、転圧するのにぴったりの道具なんです。
でも待てよ、そういう専用の道具があるのか?と思って調べてみたところ、そんなものは無いようです。では他の人はどうやってんだろうという疑問に至った訳です。リサーチしてみると割りばしや綿棒、爪楊枝などを使っている人が多く、でもそれじゃあいちいち持ち替えないといけないしその都度捨てることになる。鉛筆からもっと使いやすい形状にシェイプした植え替え専用棒みたいなのがつくれないかな、だってぼく大工なんだし。
そうして生まれたのがこの「SOIL STICK」なのです。


そしてそのあまりの使い勝手の良さからこいつをもっといろんな人に使って欲しい!という想いでLIFETIME説田さんに話を持ちかけたところ「よし、やろう!」と、僕にとっては願ってもない素晴らしいプロジェクトが始動したのです。(大袈裟 笑)
Plainを始める前、店の構想を練っている中でLIFETIMEさんの存在を知り、お取引の前にちゃんとお会いしようと思って京都を訪ねました。まだ路面店がないときで、京都郊外の説田さんの事務所へ。方向音痴な僕を駅まで迎えに来て下さり、お取引も快く引き受けて下さってほっとしたことをよく覚えています。お土産に萩井上のしそわかめとLabour(wccwの自社ブランド)の木製トレイを渡した時に、「works&labo」と「wcc worksとLabour」ってなんかすごい似てるよねって話になって意気投合。園芸だけの話にとどまらず、音楽の話(説田さんは元バンドマン)やものづくりの話などいろいろな話をするなかで、いつかなんか一緒にものづくりをしたいねと話していたのです。
だからこのSOIL STICKに説田さんが一枚一枚手作業で作ってくれたworks&laboのタグが付いたときは感激でした。職人気質でビジュアルセンスも商売センスもない自分のサポートまでしてくださって、説田さんにはほんと感謝感謝です。

ではもう少し商品説明を。
国産の堅木の端材から一本一本削り出して造られています。ですので先端形状や精密な長さや太さは多少異なりますが、それぞれの用途に合わせたり手になじむ1本をお選びください。
 手に持ったバランスはこんな感じです、
 尖った方の先端です。
 多少厚みを持たせることで、少々こねても平気です。
 鋭利過ぎず、丸みを帯びているので根を痛めません。
根詰まりした根を丁寧にほどく作業や
 ポットから抜けない苗の土をかき出したり
 葉と葉の間の土を払ったり。
 ひっくり返すと先端が丸くなっています。
 主に土の転圧に使います。
サボテンやアガベ、ディッキアなどの強棘類の植え替えにはもはや必需品。あとは種まきのくぼみもリズミカルかつ均一に作れます。
他にも使い方次第で様々な作業に便利です。

 専用革ケース有り〼。
 ベルトループに通せるようになっていて、使わないときはハトメ穴を壁に掛けて。
 道具ってのは仕舞う場所があるとより活きるものです。
ちなみにこの革ケースは光市のイケメン革職人 Hearty leather works 代表 伊藤さんに製作して頂きました。なんどもサンプルをつくって調整していただいた賜物です、感謝!

soil stickを使った後は、硬く絞った布で拭き取り、オリーブオイルなどを塗ると良いです。一応内装の床や家具などに使われる亜麻仁油に一晩漬けて防水性を持たせておりますが、木製品ですので濡れっぱなしだと痛んでしまいますのでご注意ください。あまり強くこね過ぎると折れてしまいますのでそちらもご注意くださいませ。

一部の園芸家の方や愛好家の方より反響も届き始め嬉しい限りです。より多くの方々に使って頂きたいのでお値段も手に取りやすい価格に設定してあります。是非使ってみて下さい!きっと手放せなくなるはず、soil stick!!

■SOIL STICK
サイズ:約20㎝ (ご希望により25㎝で太径のラージサイズ有)
材質 :木製 (国産 桜材及びブナ材)
価格 :1,800円 (税込 1,944円)

■SOIL STICK LEATHER CASE
サイズ:約23㎝
材質 :革製
カラー:BLACK,PLAIN
価格 :3,800円 (税込 4,104円)

取扱い店は、 京都 LIFETIME   京都市北区紫野上築山町21 
       広島 オダ理容室  広島市南区旭2-21-23
山口 Plain 山口市後河原37-1 ウッズビルⅠ 1F
となっておりますので是非お手に取ってみて頂ければ幸いです。尚、近くにお店がない場合は通信販売にも対応致しますのでお気軽にお問合せください。
     

オカベケ

これが目が覚めたときの映像だ。前夜の記憶がまばらで、見たことのない天井に躊躇した。

一瞬理解できなかったけど、隣で大いびきをかいて寝てる岡部さんを見てすぐに理解できた。ニコタマ駅周辺の安居酒屋で飲んで、酔った勢いでホテルをドタキャンし、岡部さんの自宅に厚かましくもなだれ込み、焼酎を割らずに錫のおちょこでグイグイやってたらいつのまにか寝ていたんだ。

ちなみにぼくはHALF TRACK PRODUCTSの寝袋に包まれて寝ていたんだけど、その快適さにも驚いた。随分酔っていたのももちろんあるだろうけど、ぐっすり眠れたんです。前から欲しかったヤツだけど売り切れていてその理由にも頷けるわけだ。どうも第二弾が発売されるようだから要チェックです。

いつまでたっても一向に起きる様子のない岡部さん。隣の部屋からは子供たちの声が聞こえてくる。
状況を整理してみよう。
まず、岡部さんは家族にぼくが泊まりに来ることをちゃんと伝えているのか。いや、もし伝えてなくても玄関には知らない靴があって、リビングにはお父さんとは違うもう一人がいるのを認識できるはずだ。知らない人がリビングで寝ていて、奥さんも子供たちもこちらに来ようにも来られないのではないか。
そして今日は日曜日だ。家族で過ごす、日曜日だ。確か岡部さんちは男の子2人。日曜日の朝は戦隊モノや仮面ライダーなどのアニメが目白押しで、うちのせがれだっていつも楽しみにしている。もしかしたらテレビが観たいのにリビングに来れないんではないか?
いてもたってもいられなくなり、とうとう岡部さんを強引に起こすことに。岡部さんはまるで土のような色の顔で、そうとうグロッキーな状態だった 笑 
ご家族の皆さんと挨拶をして歯磨きとトイレを済ませた。トイレには僕が敬愛する建築家 中村好文さんの書籍が何冊かあり感激。やっぱこういうとこなんすね。聞けばジェリー鵜飼さんに勧めてもらったとのこと。またしても共感と繋がりを強く感じる。
リビングに戻ると岡部さんは再び寝床に。子供たちとは2、3言葉を交わしつつもまだ緊張している様子。任せろ、おじさんは女子はめっぽう苦手だけど、子供とお年寄りにはこれでも人気があるんだ。仮面ライダーネタで攻めたらいとも簡単に我が手中に。

2人とも自分の好きなものや、得意なことの話をたくさんしてくれた。とてもいいこたち。天井のライティングレールからは着生ランの一種 バンダが吊ってあり、家の中にも外にも植物があった。
庭にも出てみた。


おー、あのオカベケノニワだー!
すると奥様から「朝ごはんできましたよー」と呼ばれる。まじすか。。ほんとかたじけない。。
二日酔い気味の僕達のためにうどんとおにぎりを拵えてくださった。いわゆる関東の真っ黒出汁とは違う、とてもあっさりして沁みるお出汁だった。あの味は忘れません。
とても初めて会ったとは思えないくらい暖かく接してくださった岡部家のみなさま、本当に感謝! また必ず会いに行きます!


さて。新幹線降り、急ぎ足で丸ノ内線に乗り込む。目指すは五本木にあるスタイリスト岡部文彦氏の事務所。岡部さんとTACOMA FUJI RECORDS代表 渡辺 友朗氏の私物を売り捌く「フリマふたり」の会場だ。
2人とはちょうど1年前に会っていて、久しぶりの再会。というか去年も偶然というかノリで3人で呑むことになったんですが、自分の敬愛する2人とまた同時に会えるなんてぼくにとってはこの上なくありがたきご縁なわけで。
中目黒で東横線に乗り換えるんですが、渋谷で事故か事件かなんだかで電車が遅延。ごったがえすホームでしばし電車を待っているんだけど、アウターがないのでめちゃくちゃ寒い。真剣に自分のドジを憂う。
電車が遅れて到着するも、もはや乗り込める余地はないので見過ごす。その中に果敢にも乗り込む人多数、そうか、ここは戦場なんだと気付く。乗車率200%の電車を初体験しましたが、みんな何食わぬ表情ながら物凄い力で押し合いへし合いの攻防。ぼくは自分の立ち位置を確保するのに必死で、自分の降りる駅のドアが開く方向をこっちだ!と読んだにもかかわらず、まさかの逆方向だったときはぼくも顔の表情を殺し、人をはねのけるしかありませんでした。
学芸大学駅より徒歩にて向かう。先ほどの電車内でのおしくらまんじゅうであったまったのか、寒くない。あーここだここ、ここ曲がんだよなーなんて思いながらスムーズに到着。

感激ですよ。ドアノブの上には岡部さんのバリカンズステッカー、下には我がwcc worksのロゴが鎮座。よくあるステッカーチューンみたく貼りまくった中の一枚とは違い、サイズの同じ丸いステッカーがでーんと並ぶ。別に意味は無いのだろうけど、ほんとに嬉しくてしばし眺めてしまった。
コンコン。「お疲れっすー!」「うぃーっすー!」「ういすうぃすー!」みたいな、いつもの感じで迎えられるものの、2人とも1日中慣れないマンツーマン接客でお疲れの様子。岩手にアウターを忘れてきた武勇伝を話し、代わりのアウターを物色している中、渡辺さんはPCでひたすらオモシロ動画を漁っています。

この食べかけのみかんやじゃがりことかティッシュ箱のポジションからして、完全にひきこもりのおじさんみたいですが、決してそうではありません。ぼくがこの世で尊敬するたった3人の中のひとり、この方こそTACOMA FUJI RECORDS渡辺さんなのです。
もう一方、愛媛県から来たお客さんを本気で接客している岡部さんも、渡辺さんの見つけた画像や動画が気になってしょうがない様子。ほんとおもしろい。
ぼくもせっかく来たんだから何か買うてかえろう、というかアウターをゲットしなければ死活問題の為室内を物色。岡部さんコーナーでバーサレイヤーの赤い多機能ジャケットを試着すると「いわみつくんそれはキャラじゃないよ、つーか赤とか似合わないでしょ。」と厳しい一言で却下。さすがにスタイリストさんに言われると納得せざるを得ない。。でもぼくはいつもアースカラーばかり選んでしまいがちなので結局そいつを購入。渡辺さんの方からも、タコマのサンプルTシャツ(出回っていないものなのでマンモス嬉しい)なんかをゲット。
よーしじゃー呑みに行きますかー!ってことでお洒落タウン二子玉川駅近くの、お洒落とは全く無縁の居酒屋にて開宴。本当はぼくがいろいろと聞きたいところなのだけど、のっけから彼らの質問攻めに遭う。
「はーい質問!」「はいはいじゃあ次の質問いいすか!」という具合。ぼくも負けじと応戦し、外遊びの事、音楽の事、プロレスの事なんかの熱い話を聞き出すことに成功。プロレスの話は目からウロコというか、その深さと渡辺さんの熱量にちょっと感動した。お互い畑違いの業界だから、知らないこともたくさんあるもんです。

反社会勢力って。。

途中、彼らのブログやIGに度々出現される某有名ブランドの雄、ゴリさんを強引に呼び出して第2ラウンド開戦。到着間もなくおもむろに自作のマイグラスを持ち出すあたり、流石だ。(そのグラスはこの後半ば強引にぼくの手の中に)
他愛のない話の中でなぜその話になったのかは覚えてないけれど、おそらくその場にいた全員の心を鷲掴みにしたのが隣で異常な盛り上がりを見せる強面の男衆と、バックリ開いたお洋服から般若の刺青がこちらを睨む妖女たちがおりなす酒池肉林から時折飛んでくる「じゃあおっぱいみせようかー!」という目も耳も塞ぎたくなるようなフレーズと、渡辺さんが言った「This is not here」だった。
言葉の意味とかそういうんじゃなくて、なんつーんだろ。ぼくが言葉多くに説明しなければならないことをたった一言で片づけてしまった。以来、また少し丸くなれた気がする。何かあると文言のように、口をつむり加減に「this is not here」とつぶやいています。
財布から4000円を取り出し机の上にバンッと置き、「帰るっ」と言い放つお決まりのタコマスタイルを披露した渡辺さんが帰宅して閉宴。半蔵門にホテルを予約しておいたので終電が気になっていたんですが、「おれまだ話したいからさ、ホテルキャンセルしてうち泊まんなよ!」と強引なオファーに乗っかり岡部家に移動。これはっきりいってめちゃめちゃ嬉しいことです。
錫のぐい飲みで焼酎をちびちびやりながら、男であり父である2人の座談会。岡部さんお気に入りの外遊び道具をあれこれさわりながらいろんな話をしていつの間にか寝落ちしていました。

2日目 前編

祖父宅に到着後も久しぶりの再会ということもあってかなり深酒をしてしまいましたが翌朝は以外にもシャキッと起床。盛岡に来た時は必ず訪れる名所 高松の池に食パンを持って散歩。(寒さの為誰もついて来ず)
さすがに盛岡の朝は寒い。鼻の奥がツーンとして、顔はパリッとして刺すような寒さ。けど何故か気持ちいい。


10分ほどで到着。見ての通り池は全面凍結していて、その上で白鳥やカモが越冬しています。随分と人に慣れていて、パンを持っている僕を見るなりグイグイと近寄ってきます。楽しい。


しばし戯れた後、帰ろうとするもカモたちはどこまでもついてきます。かわいいんだけどさ、もう帰らなくちゃなんねーっつーのに、道路までついてきて危なっかしいもんで「バウーッ!」っておっ返しました。また来たときもう遊んでくれないかも。。
お昼より市内のお寺さんで祖父の一周忌法要が行われました。そう、飽くまでも今回の真の目的はこれですから。
で、みんなで最後に盛岡冷麺を食いに行こうということになり、タクシー運転手さん推しの焼肉屋さんに入店。
10年ほど前に盛岡冷麺を食べたことがあるんですが、正直「なんだよこの麺硬ってーなー。だいたい寒いのに冷麺ってどうなの?しかもスイカとか乗ってるし!」と散々な印象だったのですが、運転手さんによると当時からはかなり進化しているとのこと。焼肉を食べに行った〆に冷麺を食べるのではなく、冷麺を食べに焼き肉に行くというくらい、とにかく盛岡人は冷麺ラブなんだとか。
冷麺をオーダーし、待つ間に焼き肉を楽しむのが盛岡スタイルというので郷に入っては郷に従いしばし待つ。焼肉を一通り食らい、3杯目のビールをオーダーした辺りで冷麺登場。入店40分、新幹線の発車時刻まであと20分。やばいよ、つか遅せーし!

うん、硬いですね。なんつーか、ゴム食ってるみたい。山口人ってさ、もはや離乳食レベルのどんどんの柔麺で育ってるからなのかな、余計にそう感じるのかもね。確かに美味しいんだけど、大前提として麺料理ってあったかいほうが絶対美味い気がします。
ただでさえ硬い麺を飲むように流し込み、親戚たちに別れを告げタクシーに飛び乗る。運転手さんが超出来る人で、「50分初のはやぶさでしょ!? オッケーーーイ!」と裏道をぶっ飛ばしてれたおかげでなんとか間に合いました。売店でちくわとビールを買ってホームで新幹線を待っているとなんだかすごく寒いことに気付く。アウターを焼き肉店に忘れるという惨事発覚。。
もうね、ほんとドジなんすよ。。。
自分の馬鹿さ加減を憂いつつもビールを飲み干すと、終点東京までは爆睡でした。

1日目

ちょうど1週間前の今頃、盛岡市内をスーツケースをガーガー引きながら歩いていました。
母方の祖父の一周忌の為です。朝8時に家を発ってから新幹線に揺られ9時間余り、ほぼ本州縦断です。
もともと母の実家は世田谷区下北沢。今はバンドの聖地だなんて呼ばれてるところです。僕が中学の頃までは下北沢の家に帰省していたのを覚えています。山口から東京に帰省だなんて、今考えるとおもしろいっすね。それがなんやかんやあって祖父母が岩手県盛岡市に移住して、この土地に縁ができたという訳です。
東海道新幹線の中では新山口駅から乗り合わせた受験生との微笑ましいやり取りがあったりで飲酒を控えめに抑えましたが、東北新幹線に乗り換えるときに国技館やきとりを購入してからは、移動販売が通る度にビールをオーダー。仙台あたりでまずいなと思いチューハイにシフトしましたが、すでにかなりの仕上がりでした。あれうまかったなー。


明るいうちに盛岡到着。思っていたほど強烈な寒さはなく拍子抜け。

酔いさましに駅より市内を散策。北上川から岩手山を眺望。高校生の時、この近くの古い釣具屋さんで工芸品でもある盛岡毛針を祖父に買ってもらって釣りをしたのをよく覚えています。運が良ければイワナが釣れるなんて聞いたもんだから夢中になってやってたけどハエンボみたいなのしか釣れなかった。釣具屋さんを探してみたけど見つからなかったのが残念。。
余談ですが、娘2人しかいなかった祖父は僕をどうしても養子にしたかったらしく、盛岡に来たときは至れり尽くせりの扱いを受けていました。一番びっくりしたのはいいなずけのような女性が登場した事。(しかもけっこう美人でしたw)その時顔合わせに使ったホテルを見つけたりして、当時を思い出しました。
さて、そのまま親戚のいる祖父宅にいくのもつまらないし、せっかくだから岩手っぽい店で飲みたいのでとにかく歩いてリサーチ開始。大通りと呼ばれるメインストリートには大手チェーンが立ち並び、ちょうど金曜日だったこともあり多くの人で賑わっていました。一本路地裏に入ると花街があって、キャッチのお兄さんが超笑顔で迫ってきます。足早に退散。こんなとこじゃなくて、もっと地元の酒呑みが集まる、場末感漂う飲み屋が軒を連ねるとこにいきたいんです。
遂に発見。

おー。超気になる。。


のれん逆だし。きっと偏屈親父に違いない、〆はここやな。
とかって迷ってるともうどこに入ればいいのか完全に迷子に。
最終的に選んだのは絶対に失敗だけはなさそうな居酒屋に潜入。かまどご飯のある店だってとこに惹かれました。カウンターの一番端っこにスタンバイ。
とりあえずビールをオーダー。お通しに出てきたのがイカのワタ煮で自分の判断が正しかったことを確認。店員さんに山口から来たことを告げ、岩手っぽいものを適当に出してくださいとお願いしました。一杯目のビールを飲み干してからは日本酒にシフト。危険なのは承知もやっぱり地酒を楽しみたいじゃん。このお店の素晴らしいとこは、お酒を頼むとそのお酒の仕込み水を一緒に出してくれるところ。山口のお店でも酒と同量のお冷を出してくれるお店はあるが、銘柄ごとの伏流水を出すなんて粋じゃない!スタッフさんとそんな酒談義をかましていると隣の人が乱入。地元の人達との交流戦に突入。




そうこうしていると母と妹から電話が鳴る。
「あんたいまどこよ!?盛岡ついてんの!?」
「お、おう。。盛岡にいるよ。」
「何時だと思ってんの?明日法事なんだから早く来なさい!!」
気づけば日付が変わっており、断腸の思いでハシゴからの〆を諦めて祖父宅に向かうのでした。